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「気にしなくていい。むしろ君に会えたのはラッキーだ」
「はあ…?」
これだけインパクトのある顔をした人を忘れるわけもないし会ったことは無いはず。
知り合いなわけでもないし、なにがラッキーなんだ…?
その人の意図が読めずに頭を捻る。
「くく、またすぐに会うことになるだろうよ。またな、斎藤刹那くん」
「え、…あっ、ちょ、」
俺の気の抜けた返答に小さく笑いを零すとその人はひらりと手を振って踵を返した。
それに伴ってエレベーターの扉がゆっくりと閉まる。呼び止めようとしたが間に合わなかった。
「どうして俺の名前……」
そういえば大浴場の説明をしてくれたのは俺が転入してきたばかりなのを知っているからだったんだろうか?
母さんに読まされた預言者を思い返す。
王道くん、副会長、ホスト教師、変態寮長と今のところ大まかな内容はやはり預言書と似通っている。
うーん、さっきの人は…
強いて言うならば会長ぽいかもしれない。
浮世離れした顔立ちも相まってかオーラというか、雰囲気のある人だった。
あ。でもたしか会長は俺様なんだっけ。そんな感じではなかったなあ…たぶん。
そんなことを考えていると途中誰かが乗ってくることもなく目的の8階へと到着した。
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