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おそらく青崎銀次であろうそのイケメンは思案するように視線を彷徨わせて あぁ、と納得したように呟いて再び視線を俺に向ける。
「…はいれば」
それだけ言って引っ込んだイケメンに伴ってバタンと扉は無機質な音を立てて閉まった。
…これってやっぱり歓迎されてない、よな?
そりゃあ今までお気楽一人部屋だったところに知らない奴が転がり込んで来たらそうなるだろうけどやっぱりちょっと悲しい。
これからこれから!と喝を入れる気持ちで自らの頬を叩くと玄関をくぐった。
「…お邪魔しまーす、?」
自室となる部屋にお邪魔しますはないだろうけどただいまというのも違う気がして、そう小さくささやいて靴を脱ぐ。
正面の扉を開けるとカウンターキッチンまであるリビングルームが視界に飛び込んできた。
この広さでさらに自室まであるのだから流石としか言いようがない。
「ねえ」
「へ、?…つめたっ」
きょろきょろ見回していると ぬっと現れたキッチンに居たらしいイケメンから何かを投げられたので反射的にキャッチしてみればそれは凍った保冷剤だった。
「赤くなってる」
「…えっ」
ここ、とイケメンは自らののおでこを指差す。
これは…もしかしなくても心配してくれた?
「え、ありがとう…」
「……べつに」
イケメンはふいっと顔を逸らすとそそくさリビングに隣接する自室らしき部屋に入っていってしまう。
シャイなのかな……
でも、初めの怖そうな印象とは裏腹に優しいひとなんだということはわかる。
仲良くなれたらいいなぁ。
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