513人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
「…ん、?」
とりあえず学食に行ってみるか、と共同スペースへの扉を開くとなにか…焦げくさい?
すん、と鼻を鳴らすと同時にキッチンからもくもくと黒い煙が流れてくる。火事!?!
慌ててキッチンに向かうと黒煙を吐き出す電子レンジとその前で心なしかしょんぼりして見える銀髪の彼がいた。
火事ではないようなのでとりあえず煙を逃がすために慌てて窓を開ける。
「だ、大丈夫?なにごと…?」
「……炭になった」
電子レンジの中を見つめながら悲壮感漂わせる銀髪くんをみて中を覗くと、そこにあったのはダークマター。
いやほんとにそうとしか言いようがないものがプスプスといまだに熱で躍動してるのが余計に不気味だ。それに焦げくさいだけじゃなくなにか刺激臭もするような…?
「これ…なに?」
「もらった食べ物。温めろっていった」
「もらった?ともだちに?」
「しらないやつ」
首を左右に振ってなんでもないように答える銀髪くんに頭を抱えたくなる。
近くに可愛いラッピングボックスがあるのをみるとどうやら手作りの焼き菓子かなにかを貰ったらしい。…知らない人から。
温めろってことはフォンダンショコラかなにかだったのか…いやそんなことはどうでも良くて!!
「あのね、よくきいてね、…知らない人から貰ったものを無闇に食べちゃいけません!!!」
「? なんで。」
「世の中にはね、わるーいひとも居るからなにか悪いものが入ってるかもしれないからだよ。もちろんそんな人ばかりじゃないけど…」
これは…なにか入れられてる気がする。
鼻は利くほうだから多分、食品以外のもの入ってる。人の…、
むかしそういう事があったせいでだいぶ過敏になってしまっている部分もあるが、ほんと逆に焦がしてなかったらと思うと恐ろしくて身震いする。
最初のコメントを投稿しよう!