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「とにかく!絶対知らない人から物を貰っちゃダメ!!はい、復唱!!!」
「…知らない人から、モノもらわない」
「よし!!」
おれの勢いに押され気味な気もするが、戸惑いながらも復唱する銀髪くんに大きく頷く。
「でも、おなかすいた」
「おれも。…これだけ片して一緒に食堂いかない?」
「…うん。」
もしかしたら先約があるかも、と恐る恐る聞いてみるとすこし嬉しそうに彼は一つ頷いたのをみてほっとした。
あまり表情は変わらないのにけっこう感情はわかりやすいんだよなあ。
というか、既視感があると思ったらうちで飼ってるゴールデンレトリーバーの太郎にすごく似てるんだ。
なんならうっすら耳としっぽがみえる…
「って、なにしてる!?!」
「え。片付け…」
おれがボケっとしてる間に素手でダークマターの乗った皿を持ってシンクに向かおうとする彼に慌てて声をかける。
「え、熱くないの…?」
「あつい。」
「ポイしなさい!!!!」
大人しくダークマターを手放した彼の手を確認すると少し赤みを帯びていて、軽い火傷を負ってしまっている。
ある程度冷めていたのか酷くはないみたいですこし安心した。
しかし軽いといえど火傷は火傷。あとから水ぶくれにでもなったら大変なのですぐに銀髪くんの腕を引いて水道の冷水にあてる。
「…こんなもんかな。大丈夫?いたくない?」
「へいき。…あり、がとう」
「どういたしまして」
そのあとすぐに軟膏を塗ってガーゼと包帯を巻く。
完璧とはいえないけどそこそこに綺麗に巻けたはず。
こういうとき不器用なのがうらめしい…
じっと視線を感じて見上げるとたどたどしくお礼をいわれて思わず笑みがこぼれた。
やっぱり銀髪くんとは仲良くやっていける気がする。
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