06.食堂でイベントは必須らしい。

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「相手にしなくていい。…ん。」 「いやそういうわけにも…って、んぐ!?」 伊織を引き剥がすとおれのフォークに残っていた肉を刺して差し出してくる。所詮あーん、ってやつだ。なぜだ。 「私への不躾な対応のみならず私の刹那になにしてくれようとしてるんですかこの腐れ不良は。」 笑顔で怒ってらっしゃる伊織を物ともせず完全聞こえていないかのような態度を押し通す銀髪くんにおれは冷や汗をかいてしまっているよ。 そもそも突然の銀髪くんからのあーん。に戸惑いが隠せないが抵抗する間もなく突っ込まれた肉をあわてて咀嚼する。 銀髪くんはおれが伊織に絡まれている間に自分のオムライスは完食していたらしく、待ってるのに飽きたのかもしれない。 「うるさい。サざエさんはじまる。」 「サ……………」 いろんな意味で予想外の発言におれは言葉を失ってしまったけど、そんなことは気にもとめず銀髪くんは最後の一口を俺の口に放り込む。 「はい。ごちそうさま。かえろ」 「ちょっ、ええ、!?」 銀髪くんはおれが飲み込むのを見届けると腕を引いて出口に向かおうとするが、すぐに逆の腕を伊織に捕まえられてしまった。 「待ちなさい。私がハイそうですか、と見逃すはずがないでしょう」 「へえ。でもアレはいいの」 伊織の圧のある笑顔を物ともせず銀髪くんは出口の方のなにかを指さす。
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