06.食堂でイベントは必須らしい。

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「だめ、じゃない」 そのままくるりと反転して寮に向かって歩き出す銀髪くん…じゃなかった。ギンを慌てて追いかける。 そっけない対応に不安になって横顔を伺ってみたけど気分を害した様子はなかった。 むしろ……ご機嫌? 「ねえ、おれのことは?なんてよぶ?」 「………さいとう」 「ええ!?なんでおれのことは苗字なの!!」 確かめようと、駆け寄って顔を覗き込もうとしたけどふいっと顔を逸らされてしまう。 先ほどのお返しとばかりに詰め寄るとちらりと視線だけを寄越してまさかの斎藤呼び。 おれが思わず批難じみた声をあげるとギンの表情がふっと緩んだ。 「うそ。…せつなって、呼ぶ」 よろしく、と挨拶だけするとギンは再びスタスタと歩き出す。 おれはというと割とドライそうなギンが笑ってくれたことにびっくりして数秒固まってしまった。 なんだろう…この、飼い始めたわんこに初めてぺろんされたみたいな…心開いてくれた第一歩みたいな…… なんにせよ、恐るべし天然記念物…! 明日からの同室生活に一抹の不安を抱きながらも…とりあえずギンの背中を追うのだった。
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