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王道、…って母さんの本であったアレか。
あれは本の世界の話であって、実際にあるわけじゃないんじゃ…
というか母さんはその王道っていうのを俺にやらせたいのか…?
「どう?せっちゃんがイヤなら無理にとは言わないけれど…」
「……はぁ、別にいいよ」
今の学校も普通に楽しいけど一回限りの高校生、普通じゃない体験をしてみるのも悪くないかもしれないと思ってみたりもする。
それに母さんのこの野望(?)を叶えられるのは現状俺しかいないわけだし…
転校するぐらいで満足するなら、別にいいか。
おい、今マザコンだと思ったヤツ出てこい!断じて違うからな!むしろブラコンだと自他共に認識している。
そしてなにより慧くんの経営している学校に行ってみたい気持ちがあることから、潔く腹をくくることにした。
「きゃー!ありがとうせっちゃん!」
「うぐ…っ」
「こらこら姉さん…」
俺の返答を聞いた母さんはもの凄い勢いで抱きついてきた。それはもう苦しいくらいに。いやもうほんと、窒息しそうなくらい、に……
するとそれを見兼ねた慧くんが母さんを引きはがしてくれたことで一命を取り留めることができた。
「じゃあ、セツは俺の学校に入るって事で良いんだな?」
「うん」
「嬉しいよ。セツが俺の学校に来てくれるなんて」
ほんとうに嬉しそうにはにかむ慧くんにつられて俺も笑う。たのしくなるといいなあ。
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