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僕の最後の言葉の後、グルルル的な声を出して黙り込んでしまった社長。
急に静かになった応接室が気になるのか、事務員が再びこちらを見ているようだ。そんな事務員に気づき、社員であろう男性もこちらに視線を向けた。
それからしばらくして、社長が疲れ切った顔をして言った。
「わかったわ。契約は継続しましょう」
「………」
(継続しましょうって言ったか? マジか!)
心の中では「ありえん!!」とかなり驚きながらも、顔はにっこりと微笑みを浮かべる。
「ありがとうございます。では契約書を会社へ提出するので、こちらへ頂けますか」
伝えながら手をのばしてみると、社長は力なくクリアファイルを僕に手渡したそのあと、ふと自分に向けられている冷たい視線を感じたようだ。
そう、事務員と男性社員の視線である。
これ以上ここにいると再び
「やっぱり嫌だ」
とか言われかねないので、社長に感謝の言葉を伝えながらすぐに立ち上がる。
「ありがとうございます、社長。───今日は帰りますが、また納品の日が決まったら電話ではなく直接お伝えに来ますので」
「……お願いします」
そしてドアの前まで歩いてから、事務員と男性の方を向き頭を下げる。
事務所を出てから僕は会社へとまっすぐ帰り、上司に契約が出来た事を伝え書類を渡した。
なんかすごい達成感が。あ、疲労感もすごい出て来た。
しかし僕はまだ気づいていなかった。
あのYUKINO商会の社長の中身が、猪突猛進型の「乙女」だということを。
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