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「小宮さん、早く帰ってきて」
そんな私の願いもむなしく小一時間ほどすると、社長が自分の机へと向かい、そして何かを取り出そうとしている。
出来るだけ無害に見える笑顔を貼り付けて、ソーっと社長のそばへと近づいていく。そして「どうされたんですか?」と尋ねてみた。
社長から返された答えをまとめてみると、
あの営業くんが持ってきた書類にハンコを押すが
それは、認印ではなく会社印だと言う。
思わず「会社印ですか?!」と聞き返すと、「そうあはは。もう、大丈夫よ!」と軽い返事が。
おいおい。
普段ならこの時点で
「何考えてるんですか。この貢ぎ女め」
「会社印だぞ、まずは良く考えろバーカ」
的な事をオブラートに包みつつ、しつこく責めることぐらい朝飯前なのですが、今は社長が気に入ってる男性の前である。
イケメンを前にしている時に下手なことをいうと「恥をかかされた」と、白目をむいてキレだすだろう。
それに何を言ってもこのウットリ状態だと、耳を素通りして残骸も残らないことは経験済みである。
こういう時、イケメンにはイケメン。
小宮さんが最適なのだが、彼は今いない。
とりあえず小宮さんにメールを送ってみたが、返事はまだ無い……
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