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結局私はなんにもできず、そそくさと事務所を去っていった営業くん、いや高田さんはしっかりと目的の契約をつかみ取っていた。
そして彼が帰った後、何を購入したのか社長を尋問しつつ書類を見ていたのだが、契約書なんぞ滅多に見ないからいまいち分からん。
ただこの「リース契約書」が、貧乏会社にとってはお安く済むものではない事は知っている。
しかもパンフレットに丸がされており、書類にも書かれているそのOA機器はよりにもよって
「電話機」だ。
社長。何が差し引きすると「お得」なんだよ。
立派な電話機が、すでに事務所には三台もあるじゃないか。
しかもオフィス仕様のいい高いやつだ。
いまいちまだ状況を把握していない社長のために、とりあえずリースだと最終的にどれくらいの金額になるのかを計算することにした。
高田さんが書いたという説明書きには、「七年リース」「毎月○○円」とある。
ポンポンと計算機に数字を打ち込んでいくと、見事に「100万越え」の金額が液晶に現れた。
これ詐欺じゃないですよね。泣いていいですか?
しかも七年って。
社長そこまで生きてるんでしょうか?
ま、生きてるだろうけど。
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