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「社長、電話機が100万円越えしてます」
私がそう伝えた時、さすがに浮かれ気味だった彼女も蒼ざめたようだ。
「とりあえず社長。高田さんが事務所を出てからまだそんなに時間が経っていませんし、まだ手元に書類があると思います」
「そうね」
「今ならまだ、もしかしたら契約破棄をしてもらえるかもしれません」
「そうなの?」
「無理かもしれませんが」
「なんで?」
「こんな高額の契約、そうそう破棄に応じてもらえると思えません」
「……」
「でも電話機はすでにあるんです。いらないんです!」
「あぁそうよね…そうかもね。
……
……
はい決めたわ。ぜひ頑張って契約破棄に向けて、角野さん頑張ってちょうだい」
「……」
「あの」
「……」
「角野さん?」
「なんで私がしなくちゃいけないんですかね。馬鹿なんですか。あぁ本当に馬鹿なんですね」
「角野さん?」
「ちゃっちゃっと、社長が高田に電話して、騙してでも奪ってでも契約書を回収するのが当たり前です。さぁ今すぐ高田に電話して下さい。さあ、早くしてください」
「わ、分かったわよ。するわよ」
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