478人が本棚に入れています
本棚に追加
しかしそろそろ二人とも、契約をどうするのか決めてくれませんかね。
社長がたぶんもっと本気の強気でいけば、高田さんはその契約諦めてくれそうな雰囲気なんですけど。
そんなことを思っていたら、今更の小宮さんが帰ってきた。
応接室に向かって軽く挨拶をしたあと私の隣の席に座った小宮さんが、目線で高田さんを追いながら小声で聞いてくる。
「あれか?」
(……メール読んでたんなら返事ください)
心配してるのになぜメールは無視なのかと疑問ながらも、
社長に喋っているのを気づかれないよう小宮さんと視線を合わさず机に目線を置き、仕事をしてる振りしながら説明をする。
「はい。今、二人で契約継続か破棄かって話してます」
「なんで破棄の話になってんだよ。珍しいな。で、今回は何を貢いだんだ?」
「電話機、七年リース、計100万越えです」
「それ。まさかこの事務所に置く電話機じゃ」
「そのまさか、です」
「……いらないよな」
「はい。考えるまでもなくいらないですよね」
「そんな金あるなら、50万づつボーナス欲しいな」
「欲しいです」
「俺、応接室に顔出しに行こうか?」
「契約破棄方面なら応援しますが」
「いま、この状況で、それ以外の用事が何かあるか?」
「じゃあ社長の手を取って『俺とその契約書、どっちが大事なんだい?』と宝塚ばりに甘くささやいてきてみては」
「いや、それはちょっと…」
最初のコメントを投稿しよう!