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そして外見の爽やかさを生かしつつ、実は悪魔な気分の小宮さんが行動しようとしたとき、急に応接室の方から高田さんの声が聞こえてきた。
「契約をこのままにしてくれるなら、とってもありがたいです」
そりゃそうだろ…と心でツッコミを入れたが、その言葉からちょっと後に今度はこう聞こえてきた。
「はい。別に仕事に関係ない困りごとでも助けますし、暇だからちょっとお茶でも、ってのも付き合います。本当にいつでもお伺いしますから」
話しの流れは不明だが、
高田さんが社長が自分の事を気に入っているのを知っており、更に契約書を返してほしくて必死なのだって事は分かった。
そうなるとかなり気になってきて、どんな話をしているのかと応接室の二人を見たら、
またまた流れはよく分からないんだけど、高田さんがかなり激甘の笑顔で何かを社長に言っている姿が見えた。
その言葉のせいか激甘の笑顔のせいかは知らないが、まるでキューピットの矢で射貫かれたような顔をして社長が放心状態になっている。
そんな状態の社長に高田さんは何かを語り、にっこりと手を差し出す。
すると、「破棄して!」とわめいてずっと社長が抱えていたはずの、契約書一式が挟まれているクリアファイルが、高田さんの手へと渡された。
そしてそれを見て、横に座っていた小宮さんは不快そうに舌打ちをしていた。
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