事務員さん #06 「事務員さんは感謝する」

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うちの社長は「乙女」である。 それにこんな言い方はどうかとは思うが、かなりの年齢で見た目も歳なりにフケている彼女。 しかし彼女には仕草がスマートな超ダンディな男前の夫と、美しい娘二人。 そして超可愛い幼児の孫も五人いる。 そう、うちの社長はかつては「かなりの美人」だった人だ。 だが今、その中身は「永遠の十代」な乙女っぷりを常に発揮しているという女性だ。 しかし、まぁ、そんな社長だから、あんだけ好きな男性にウットリと心酔できるんだと今では納得している。 そして私がこの会社に就職してから約一年後に採用された小宮さんは、徐々に社長の性格や行動を把握し始め、そして採用されてから一年経つと社長のことを 「あの、イノシシ」 そう呼び始めるようになった。 「イノシシ?」 驚いて確認したら小宮さんはこう言った。 「あのイケメンを見た瞬間、何も考えず真っ直ぐにフガフガと激走していく姿はまさに、猪突猛進って感じだから」
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