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現在午前9時。高校の入学式が執り行われようとしている。まだ肌寒い春の始まりの4月なのだが、流石に体育館いっぱいに新入生や、その保護者に教師を入れれば人口密度で暑くなる。パイプ椅子に腰を掛け、はぁとため息ひとつ。
自分の名前は、立花 翼。卒業前に届いた着慣れない制服のブレザーを不恰好に来て座っている。直す気の無かった髪を姉にイジられ、ムスッとした顔をしている。
俺は、基本的ボォ~とした顔をしている様だ。昔から先生や母に言われた事がある。だからと言ってなんなのだと直す気にはならない。
基本的にめんどくさい事は嫌いなのだ。今日の入学式だって本当は来たくなかった。めんどくさいから。
入学式も1時間とかかる大作業なのだから余計めんどくさい。基本流れ作業なのだが、長くて怠い。校長の歓迎の話が始まった。どうせ長い。眠い。
『はい、新入生の皆様、保護者の方々ご入学おめでとうございます。』
分かったから、さっさと帰らせろ。そう思いながら入学式に耽る。
その後も、生徒代表の挨拶、そして保護者代表の挨拶と続いた。
軽く40分は過ぎただろうか。校歌を歌えという指示に従い、やっと立てると思い、腰を浮かし軽く背伸びをする。と言うか、新入生である俺達に校歌なんて歌えるわけがないだろう。ふと思ったが、周りが盛大に合唱し始めたので、黙り込んだ。後で横にいたやつに聴いたら、春休み中の課題の中に、CDが渡されておりそのCDは校歌だったとの事。そのCDで春休み中に校歌を練習して来い、と課題の範囲のプリントの中に書いてあったらしい。…知らなかったなんて言えない。
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