15人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
その銃弾は彼女の胸を貫いた。
機動スーツを強引に裂く低くににごった擦過音が、静かに戦場へと染みてゆく。
幾万もの銃弾が飛び交っているのにもかかわらず、その銃弾の音は、重く、深く、乾いていた。
黒焦げた大地に英雄が倒れ行く中も、銃弾の雨はやむことを知らず。続く。
遊撃兵は遠く以外の視界を失ったように、何食わぬ顔で〈十八ミリ電磁機銃〉のトリガーを絞り続ける。
高速で発射される銃弾は彼女の頭上を通り過ぎ、素早く不規則に動きまわる標的めがけ飛んでゆく。
が、外れる。
そして次の弾が、追うようにして後へと続く。
最初のコメントを投稿しよう!