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「すまん、待たせちまったな」
「遅すぎ……」
二人の思い出の場所で、彼女は待っていた。
随分と遅くなってしまったが、これで約束を果たせる。
「こんなに私を待たせといて、今まで何をしてたわけ?」
「気持ちの整理がつかなかったんだよ。……というか、なんで一つ? 去年と今年の分で二つ必要だろ」
「いや、あんた欲張りすぎでしょ。一年も人を待たせてるんだから、謙虚にするのが常識じゃない?」
溜め息を吐きながら彼女は立ち上がり、ゆっくりと歩み寄ってくる。
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