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だから僕はこんな田舎に転校なんて嫌だったんだ……。
こじんまりとした職員室で担任の先生の話を聞きながら僕は思った。
別に前の学校がよかった訳じゃないけど、それにしたってもう少しましな学校だったよ。
僕はチラリと職員室の入口をみた。
入口の扉がほんの少しあいていてそこから生徒が覗いているのがみえる。
僕はパンダでも珍しいカブトムシでもないのに。
自分で言うのもなんだけど僕はなんの取り柄もない冴えない中学生だと思う。
だからこそ人の注目を浴びるのなんて大嫌いなんだ。
でも、間違いなく僕は数日の間、皆の注目を浴びること間違いない。そう思うと気が重い。
「じゃぁ、行こうか充くん」
優しそうな顔に、だいぶ進行の進んだM字頭の担任の先生はそう言って僕を教室に連れていく。
この学校、職員室はこじんまりしてるのに敷地自体はかなり広いらしい。何故僕がそう思ったのか、それは職員室を出て未だに教室に辿りつかないからだ。
先生は先ほどから廊下を右に左に曲がっていく。もしここで職員室に戻ってくれと言われたら間違いなく僕は迷子になる自信がある。それくらいこの校舎は変な作りをしているのだ。
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