二章:昴くん~Friend~

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鈴木くんはあからさまに不機嫌だ。 恐らくまた先生に何か言われたのだろう。 鈴木くんはよく問題を起こす人で僕も一度苛められそうになった。でもその時はまだ僕の転校生人気のおかげで他の人たちが助けてくれた。その時ばかりは転校して来てよかったと思う。 鈴木は机を蹴っ飛ばしたりしながら自分の席に座る。 しきりに貧乏揺すりをしながら舌打ちを繰り返す。 シャンカシャンカ♪ 静まりかえった教室に昴くんのイヤホンから漏れる音が響く。 「チッ」 その音が気に入らなかったのだろう。時鈴木くんが昴くんの所に行く。 「おめぇさっきからうるせぇんだよ!!」 鈴木くんは昴くんのイヤホンに手をかける。 「やめて……」 真っ白な顔で昴くんはその手を握る。 僕たちは――ただその状況を見ている事しかできなかった。 「何が“やめて”だ!だいたい、おめえムカつくんだよ!!てめぇばっかりよ!」 体格差は明らか。その上昴くんは体調が良くない。 「や……やめなよ!!」
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