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ようやく委員長の智美さんが鈴木を止めに入るけど、鈴木くんにジロッと睨みつけられると、そこから動けなくなってしまった。
「やめて!」
「うるせぇ!!」
とうとう鈴木くんは昴くんからイヤホンをとってしまった。
その瞬間――。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
昴くんが今までにないくらいの叫び声を上げて床に倒れてしまった。
犯人である鈴木くんは小さく「俺、知らねぇ」と呟きながれ教室から出ていった。
他のみんなも呆然としている。
「昴くん!!」
僕は倒れこんだ美少年の元に駆け寄る。
「……違う……そんな風に僕を見ないで……違う……」
もう叫び声は上げていないけど昴くんは両耳を押さえながらガクガクと震えている。更にブツブツとうわ言のように何か呟いている。
「昴くん!大丈夫?」
僕がもう一度声をかけると昴くんは僕の方にロウのように真っ白な顔を向けて「イヤホン……イヤホンを……」と消え入りそうな声で言った。
僕は机の近くに落ちていたイヤホンを取って昴くんの耳につけてあげる。
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