二章:昴くん~Friend~

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  「軽い貧血ね。少し横になれば大丈夫よ。それよりも――」 先生はそこで僕の方と昴くんとを交互に見る。 僕の位置からは昴くんの顔は見えないのだけど。 「実は先生、これから用事があるのよ。だからあなたこの子を見ててくれないかしら?先生には私から言っておくから」 「え?はい、わかりました」 内心で僕は少し嬉しかった。昴くんと友達になれるかも知れないチャンスと何よりも授業をサボれるのだから。 今日の一時間目は体育だ。 この学校、校庭は坂を登った上にあり僕はそこに行くだけで息が上がってしまう。それに体育教師がまたスパルタなのだ。 「ありがとう。じゃあ私は行くわね」 先生はそう言って保健室を出ていった。 「……ありがとう」 どれくらいたってからだろう?ベッドに横になっていた昴くんがポツンと呟いた。 「何が?」 「さっきの事。嬉しかった……」 「嬉しかった」と言う言葉を聞いて僕はなんともこそばゆい気持ちになった。 「ねぇ……」 僕が思い切って「友達になろう」と言おうと昴くんの顔を見る。
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