二章:昴くん~Friend~

9/11
前へ
/11ページ
次へ
  「いいよ」 ニッコリ笑って昴くんはうなずいてくれた。 僕はとても嬉しかった。この学校に来て初めて「友達」ができたのだから。 「よろしくね、本田くん」 昴くんはそういって右手を差し出す。 「こ、こちらこそよろしく……昴くん」 自分で言っておきながら僕はガチガチに緊張していて、ぎこちなく右手を差し出し、昴くんの手をしっかりと握る。 この日を境に僕たちは急速に仲良くなった。 お互い体育が嫌いだったり、隣の席だったりと話す機会は多かった。 意外にも昴くんもはっきりと友達と呼べる人間がいないんだって。 僕と同じように智美さんが話しかけてくれることは度々あったみたいだけど、最近ではそれも少なくなってしまったとか。 智美さんについてはもう一つ。 僕らが友達になったその日のお昼休み、僕は智美さんに呼び出されて[第一会議室]に向かった。この第一会議室は校舎内の隅っこにあるので普段は誰もいない。 僕がそこに着くと既に智美さんがいた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加