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夏休みも間近に近づいた日曜日、僕は学校近くの本屋さんにいた。
待ち合わせまではまだだいぶ時間がある。
自転車から降りた僕は恋人を待つ人のようにそわそわしながらその場にいた。
そう、今日僕は昴くんの家に遊びに行くのだ!だから?とか言われそうだけど僕にとってはとても重大なことなのだ。
「おはよう、本田くん」
それから程なく自転車に乗って昴くんがやってきた。
制服とは違うクラスメイトを見るのはとても新鮮だ。僕はそう思う。
今日の昴くんはカジュアルなファッションに赤いイヤホンだ。
「行こうか?」
昴くんに促され、僕も自転車に乗る。
昴くんの家までは町中を外れて田園風景の中を走って行く。
「田舎ってさ、ホントに何にもないよね。東京じゃあんなに遠くの山なんて見えないもんね」
昴くんがゆっくりペダルをこぎながら言う。
僕も昴くんの見ている方にも目をやる。
いくつもの田んぼが遠くまで続いている。
その田んぼを区切るようにこの町唯一の新幹線の線路があり、その上に山脈が連なっているのが見える。
「本当だね」
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