0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
そういえば僕はこの町の風景を良く見たことがなかった。ただ何もないくらいにしか思った事がなかったけど、自然が溢れていると言うのは悪くないかもしれない。
「ついたよ」
気が付けば目の前には二階建ての年期の入った家がたっていた。
表札には「雪石」と書かれている。
ここが昴くんの家……。
昴くんはポケットから鍵を取り出し鍵を開ける。
「さぁ、入って」
玄関をあけて昴くんが中に案内する。
僕が家に入ると昴くんが驚くべく行動にでた。
それは――
イヤホンを外したのだ。
鈴木に取られそうになったとき、固くなに取られるのを拒んだあのイヤホンを……。
僕は驚きのあまり、靴を片方脱いだ状態で止まってしまった。
「そんなに驚かないでよ」
「だって……」
僕は昴くんがイヤホンを外した時の事を思い出した。
叫び、倒れてガクガク震えていた昴くん……。
「あの時は学校内だったから……ほら、ここは静かだから」
昴くんもあの時のことを思い出しているのだろう、僕を安心させるように言う。
最初のコメントを投稿しよう!