四章:秘め事~Secret~

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夏は暑い。 東京の夏は更に暑い。 光日市はどちらかと言えば涼しいかったから、今の僕にこの暑さは厳しい。 それに空気。 久しぶりに東京に戻った僕は空気の悪さにおもわずむせた。 どうもたった数ヵ月で僕は、東京の空気があわなくなってしまったみたいだ。 夏休みの宿題を終える頃には夏休みは終わりにさしかかっていた。 昴くんから借りた本『読心術』は外国の小説で、BM(ビーエム)が主人公。 BMは人間が信じられず、人の心を知りたいと言う一心から相手の心を読むことができる機械を作りあげた。その機械を使い、BMは次第に悪事を働き始める。 勿論そんな事が長く続くはずもなく、BMはどんどん追い詰められる。 そして―― そして最後は、心を読まれた住民によって虐殺されてしまう。 と言う作品であった。 そういうことだったのか……。 パタンと本を閉じ僕は思った。 思い当たる節は幾つもある。 イヤホンの謎。 家での出来事。 僕はようやく理解した。 ――昴くんの秘密を――
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