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「あ、ああ」といつもの僕とは違う感じに父さんは、少しビックリしたようだったけど、車を走らせてくれた。
火事の現場はやはりこの町唯一のデパートだった。
デパートの周りは野次馬ばかりでデパートには近づけない。
車を降りた僕は、嫌な胸騒ぎがして、デパートに近づける場所を探した。
デパートの裏側に回ってみると、こっち側は炎が激しくて野次馬はいない。
胸騒ぎが気のせいであるようにと願いながら、僕はデパートの窓に目を凝らす。
辺りは野次馬や消防員の怒号で騒がしい。
ん?四階に誰かいる……?
四階の窓から人影が見えた気がしたんだけど……。
やっぱり誰かいる!!
そこが出火元なのか、他の階に比べて炎が激しい。
そのなかで唯一炎が弱い窓から誰かが助けを求めている。
僕は昴くんじゃないように、と願いながらその人影に目を凝らす。
昴くんだ!!
僕の予感は的中した。
窓から助けを求めているのは間違いなく昴くんだったのだ!
「昴くん!!」
僕は精一杯の声で昴くんに声をかける。
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