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しかし、僕の声は炎と辺りの騒がしさで昴くんには届いていない。
「昴くん!!」
僕はもう一度声をかけるが結果は同じ。
消防員に連絡しなきゃ。
いや今から呼びに行ったら間に合わないかもしれない……。
僕は必死に考えた。
昴くんに確実に声が聞こえる方法を。
もう一度、昴くんの方を見る。
よく見ると昴くんがイヤホンをしていないのがわかる。
――読心術――
その昴くんを見て頭によぎった言葉。
これだ!!
僕はすぐにデパートのギリギリに近づく。
昴くん!!聞こえる?聞こえてたら下をみて!!
僕は目をつむりながら必死に昴くんに語りかける。
何度目かの語りかけに昴くんがようやくこっちを向いた。
「昴くん!!」
「本田くん!?」
目が合うと昴くんは僕がいることにビックリしていた。
でも今はそれどころじゃない。
急いで昴くんをここから脱出させなきゃ。
昴くん、そこから飛び降りるんだ!
必ず僕が受け止めるから!!
それを聞いた昴くんは少し怯えているようだった。
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