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「あ、ご、ごめん……」
言ってすぐに僕は手をどけ、昴くんに背を向ける。
どうしよう……凄いドキドキする……。
昴くんは胸を隠すようにして座っている。
僕は恥ずかしくて昴くんの顔をまともに見ることができない。
「僕ね……本当は女の子なんだ……」
しばらく二人とも背中合わせに座って黙っていると、昴くんがポツンと話し始めた。
「僕が小学校のころ、担任の先生がそういう趣味があってね……その時はまだイヤホンなんかつけてなくて……それで……」
まだ幼かった昴くんにとって大人の欲望が、しかもそれが自分に向けられていた欲望が流れ込んできたら……。
きっと昴くんは辛かったに違いない。誰にも話す事が出来ずにずっと自分の中にしまいこんでいたに違いない……。
「そういうことがあったから、こっちに引越して来たんだ……」
僕は何も言うことができなかった。
と言うよりもそれどころじゃないくらいドキドキしていた。
「ねえ、このことは秘密だよ?」
「う、うん……」
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