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「……信じてたのに……」
「待って!昴くん!!」
昴くんはそう呟いて教室を出ていく。
慌てて僕もその後を追う。
教室を出た昴くんは階段を登って、どんどん上へ上へと向かって行く。
このまま行くとたしか……。
――屋上――
まずい……。
僕の頭の中で最悪の予感がする。
僕はこれ以上昴くんとの差が広がらないように必死に走る。
思った通り昴くんは屋上に出た。
「昴くん!」
「来ないで!!」
少し遅れて僕が屋上に出ると、昴くんはフェンスを背にして立っている。
まさか!
「来ないで!……それ以上近づいたら、僕はここから……」
チラリと後ろを見る昴くん。
「イヤホンを外して話を聞いてよ昴くん!」
「何にも聞きたくないよ!本田くんも……みんなと同じで僕をあんな風に思ってたんだね……」
「違う!」
「じゃあ!じゃあ……あの黒板の文字は何?」
涙を流しながら昴くんは僕を見る。
その目は裏切られた絶望感でいっぱいだった。
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