六章:すれ違い~Tears~

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「みんなには内緒だよ?」 屋上からの帰り道、昴くんがポツンと僕に言う。 「うん」 僕は最初からそのつもりである。 なんせ、昴くんは男の子と言うことになっているのだから。 教室に戻った僕たちは、正直かなりギクシャクしていたと思う。何故なら、付き合いはじめた事をみんなに悟られないようにしていたからだ。 普通にしていれば、普段から僕たちは仲がいいからバレないかっただろう。 でも今の僕たちにはそれすらわからずバレてしまうんじゃないかとずっとハラハラしていた。おかげで智美さんから「ケンカでもしたの?」と言われてしまった。 もちろん、そんな事はないと否定はしたけど。 最初はギクシャクしていた僕たちだけどさすがに3ヶ月もたつと前と同じように振る舞う事ができた。 ただ、お昼休みだけは僕たちは恋人として図書館で話をしていた。 残念ながら帰り道は違うので、僕らは毎日のようにどちらかの家に遊びに行っていた。 本当にソレだけで幸せなのだ。
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