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その顔は本当に僕の事を思っていてくれて、僕はその顔をみるだけで胸が張り裂けてしまいそうだった。
だから僕は顔を伏せた。
転校したらこの顔も見れなくなってしまう……。
「充……どういうこと?」
僕はハッとして顔を上げ、昴の顔を見る。
昴は信じられいものでも見ているような、強ばった顔をしている。
昼休みの図書室、昴はイヤホンをつけていない。
ようやく僕は何が起きたのか理解した。と同時にとんでもないことをしてしまった……。
「ねえ!転校ってどういうこと!?」
静かな図書室に昴の声が木霊する。
僕はこれ以上は隠しきれないと悟り、一昨日の夜、両親から聞かされた事を包み隠さず昴に話した。
「……酷い……」
昴はうつ向き、肩を震わせ、涙を流している。
僕にはどうしようもなかった……。
「充のバカ!!なんで黙ってたの!?」
「…………」
「なんとか言ってよ!」
「…………」
僕は何も言い返せなかった……。いや、返す言葉が見つからないと言った方が正しいかもしれない。
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