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北端の町、アルディア。
最果ての地に聳える魔王城に向かう道中、最後の村。
宿屋、病院、道具屋がとても多く、それに付随した商業が盛んで、四季に関係なくいつでも人で溢れている。
行き交うその全てが純粋な人間であることも特徴の一つだ。
「なんでエルフとかドワーフとか、いないの」
「それはね、ここが魔王城に一番近い町だからよ」
「それになんの問題があんの?」
すれ違うテーラ人の親子を見ながら、隣を歩くフィルに尋ねる。
フィルはいつもの癖でふわふわとした金髪を耳にかけると、人差し指をぴっと立てる。
「体が小さく力の強いアグリアとドワーフ。耳や爪が長い人形のアグリアとエルフ。擬態されて、完全に見分けられる? すぐさまアグリアだって見抜ける? 万が一を考えて、エルフたちにはアルディアに立ち入らないようにしてもらってるのよ」
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