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「ホノカ、何度目だよ!」
「ごめんごめん、わざとじゃないんだって」
おれの反応を見て楽しんでいるのだろう、悪びれずにやにやといやな笑みを浮かべているホノカを睨み付ければ、おれと同じ日本人のくせしてやけに外国人チックなしぐさでひょいと肩を竦めた。
「いつまでもぶすくれてないでさ、せーっかくこんなファンタジーな世界に来たんだから楽しめばいいのに。エルフとかドワーフとか、漫画やアニメに入り込んだみたいじゃん?」
「おれたちが入り込んだのは、ゲームだけどな」
素っ気なく返せば、ホノカは楽しげにころころ笑った。
テーラ。
terraを文字ったような、いかにも古今のゲームに使われてそうな名前のこの世界は、おれたちプレゼントワールドユーザーにとって、ついこの間までゲームそのものだった。
世は大ソーシャルゲーム時代。
スマートフォンやiPhoneでリリースされている数多のアプリケーションに埋もれながら、ひっそりリリースされていた人気のないプレゼントワールドというゲームは、大ソーシャルゲーム時代の荒波には打ち勝てずに、先日、サービス終了の憂き目を見た。
はずだった。
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