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「でも、ほんと信じられませんよね。そっちの世界にテーラが舞台のゲームがあったなんて」
近くの露店で購入したわたあめに酷似した菓子をかじるフィルが、呑気に空を見上げている。
つられて空を仰げば、地球ではめったに見れないような、目に痛いまでの青空が広がっていた。
甲高い鳴き声の尾を引きながら、一羽の白い鳥が飛んでいく。
「さらに言えば、ゲームそっくりの異世界に入り込むなんて、到底信じられないけどな」
ホノカの真似をして肩を竦めてみる。
「ていうか、フィルはなに買ってんだよ。無駄遣いすんなって言われたばっかじゃん」
「えへへ、つい……」
「けちなこと言わないでよ、別にいーじゃん」
「あっ、こら、ホノカ。お前までなに買ってんだ」
これまたいつの間にやら購入してきたらしい、紫色のイカ焼きのようなものをかじるホノカ。
美味しそうなにおいが至近距離から漂ってきて、とっくに朝食を消化しきっていた胃が切ない声をあげる。
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