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家の前で、人が倒れていた。
「………………」
なんだろう、これ。
いや、人なのはわかってる。そうじゃなくて、これは状況に対しての純粋な疑問だ。
だってそうだろう? 学校から帰ったら玄関の前に人が転がっていた、なんて脈絡がないにも程がある。
だけど残念ながらこれはリアルだ。現実と書いてリアルだ。
これは119番に電話をかけるべきだろうか?
とりあえず、倒れてる……少女? に声をかけてみる。
「あ、あのー……」
ピクリ、と指先が動いた。どうやら意識はあるらしい。
「救急車、呼んだ方がいい?」
「……いや、結構だ」
今度は声が返ってきた。
蚊の鳴くような声で聴きとりづらいけど。
「はぁ……。じゃあ、どうしよう?」
「こ……」
「こ?」
「米を……ご飯を……く」
そう言った瞬間に少女の身体から力が抜けた。
そして、空腹を示すおなかの音が響き渡った。
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