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数日後、雅哉は美鈴のアパートへとやって来ていた。
あれから何度も美鈴にメールや電話をしたが、メールの返信はなく、電話もいつも留守電だった。つい一時間前、もう一度話をするために美鈴が働いている居酒屋へ行ったが、すでに数日前に辞めてしまっていた。
嫌な予感がした。遅すぎたのか。美鈴が別れを告げたあの日、すぐに追えばよかったのか。もう二度と会えない恐怖を打ち消そうと、何度もインターホンを鳴らした。けれど、それに彼女が答えることはなかった。
覚悟を決めるように雅哉は持っていた合鍵でドアを開けた。
真っ暗な室内。中へ上がりワンルームの部屋に明かりをつけると、そこはいつもの部屋とは違っていた。
大雑把な性格の美鈴の部屋は、几帳面な雅哉から見るといつも乱雑に物が置かれていた。けれど、いま部屋のなかにあるのは、中身が空っぽの家具と、部屋の中央に積まれた段ボールだけ。
荷物はまだ残されているのに、美鈴はもうこの部屋へは戻ってこない気がした。まだ温もりの残る室内。きっと今から追えば間に合う。そう頭ではわかっているのに、体が動かない。
そんな雅哉の視界に、一つの段ボールが目にはいる。よほど慌てて荷造りしたのか、いくつかの段ボールは封がされていない。そのうち一つの段ボールには郵便物や書類などが乱雑に詰め込まれていた。美鈴らしいと思った雅哉だったが、その中の一枚に気がつき、呆然とした。
雅哉が目にしたもの…………それは、病院の領収証だった。
…………そういうことか…………だから…………
あとはもう、なにも考えられなかった。
雅哉はその領収証をつかむと、部屋を勢いよく飛び出した。
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