言えないから、さよなら

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……………………………………………………………… 「美鈴!!」  雅哉が美鈴を見つけたのは駅へと向かう、人気のない路地だった。  見つけた美鈴の姿に、雅哉は一瞬息を飲んだ。美鈴の体はもう全体が透けてしまい、この闇夜の中ではほとんど見えなくなっていた。美鈴の体からこぼれる光の粒がなければきっと見つけられなかった。 「雅哉…………どうして…………」  呆然と雅哉を見つめる美鈴の元へ駆け寄った雅哉は、肩で大きく息をしながら真っ直ぐ美鈴を見据えた。 「お前の部屋に行った…………どういうことだよ」 「どういうことって…………あぁ、荷物のこと?大丈夫、荷物は担当の人が特別区に送ってくれるから。私、もう消えちゃうから行かなきゃいけないんだよね」  美鈴はわざとらしく明るい声で、うつむきながら言った。消えてしまうとファミレスで聞いたときから、ずっとうつむいてばかりの美鈴。それが意味することを、雅哉は気が付いてしまった。 「お前が嘘をつくとすぐわかる。そうやって視線をそらすからな」  雅哉の言葉に、美鈴は肩をこわばらせた。 「ずっと、別れのつらさを隠してるんだと思ってた。でも、違ったんだな…………これを隠してたからだったんだな」  そう言うと、雅哉は握りしめていた領収証を美鈴の方へ差し出す。それがなにかわかった瞬間、美鈴は目を見開いた。 「それ…………どうして…………」 「美鈴の部屋で見つけた…………この病院、あの星降る夜があった駅の近くだろ?日付もあの事故の日だ…………あの日、友達の家へ行ってたなんて嘘で、本当は、この病院に行ってたんだろ?」  問われても、美鈴はうつむいたまま答えない。そんな美鈴に、雅哉は息を吐き出すと、静かに尋ねた。 「美鈴…………妊娠、してるのか?」  雅哉の問いに、美鈴はぎゅっと唇をかみしめた。
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