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「いいよ、いいよ、美鈴ちゃん。ソファーでゆっくりしてて」
約束通りに雅哉の家を訪れた美鈴は、元気な雅哉の母に半ば追いやられるようにしてリビングのソファーへと座った。
「美鈴ちゃん、久しぶりだね~」
というのは、雅哉の一歳年上の雅。彼女は絨毯の上に座り、腕の中には赤ちゃんを抱っこしていた。
「お久しぶりです雅さん。直春くん、また大きくなりましたね」
雅の腕の中にいる愛らしい直春の姿に、美鈴は満面の笑みを浮かべた。
「でしょ?もうね、この間からつたい歩きができるようになったんだよ」
そう言って雅が直春をローテーブルにつかまらせると、直春はしばし戸惑ったが、危なっかしい足取りで横へ一歩、また一歩と移動した。
「すご~い!」
「でしょでしょ?もうすぐ一歳だけど、この調子なら一升餅も背負って歩けるかもしれないわね。あっ、そうだ。一歳の誕生日ここでお祝いするから美鈴ちゃんも来てよね」
当然のように言う雅に、お茶を持ってきた雅哉は冷ややかな視線を向けた。
「あのなぁ。お前、実家にきすぎだろ」
ローテーブルにお茶を置こうとした雅哉だったが、直春の手が届きそうになり、迷った末、美鈴へ湯呑を直接手渡した。
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