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―――えーと、だな。
確かに飲み会の時に見た二人は仲が良かったので始めは少し疑いはしたが、
俺の記憶が確かならば仲が良いのはただ単に付き合いが長いせいで、そういう感情はどちらにも無い、という事だったはずでは? それを聞いて、
まぁなこの二人が付き合うって想像しにくいよなー、とか
今後何事も起らず小宮が手を出そうとか思わなきゃいいなー、とか
そんなことを思ったりはしたが、
それ以前に小宮は「ありえない、外見が好みじゃない」と飲んだ勢いもあってか、最後にはキッパリ断言してたよな?
……
いかん。もうどこからツッコんだらいいのかが分からんっ。
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「あの。ツッコミどころが多すぎてアレなんだが、とりあえずよかったら、なんでそんな事になってるのか教えてくれるかな」
あぜんとしながらも小宮の顔を真っ直ぐに見ていると、ちょっと可笑しそうな様子で嬉しげに喋り始めた。
「それはな、忘年会で」
そこで何かを思い出したのか、勢いよく鼻から息をフンッと吹き出す。
「角野。お前は本当に地味だな、と実感して笑いそうになって」
「………」
―――小宮。それってサイテーなんだが。
「それでなんか話をしたくなって、角野に声かけて顔を見た時に―――なぜか全てがきっちりハマった様な感覚になった、と思ったら、そのままスッと好きかもしれないと……」
「えーっと、それはなんだ。普通なら一目惚れってやつみたいだが、角野さんとは五年も顔合わせて喋ってるしな」
「よく分からないだろ? まー自分でもよく分からない感覚だしな」
それから楽しげだった雰囲気から一転し、真面目な顔になり
「それに決め手となるような、ここに惚れましたというのも無くて――」
「ふわっとした全体的な感覚で角野が ”好きかも” という曖昧な感じだし――」
「それに長い付き合いだから、友情的なものなのかもしれないとかも―――」
立て続けに小宮はそう言うと、思い悩んだ感じでしばらく黙りこんでしまった。
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