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自信のあるやつはこれだから…と顔をかなり引きつらながらも、再びハッと思い出したことを小宮に真面目にツッコんだ。
「というか角野さんには彼氏いたよな。たぶんまだ、別れてないんだろ?」
「そうだな聞いてはいないけど、まだ角野は別れてないと思う」
どうでもいい感じで適当に返してきた小宮に、一応ではあるが強めの釘を刺してみた。
「なら今回の場合はさ、その彼氏と上手くいってる間は口説いたり、自分のものに何とかしようとするのは止めておいて、別れるまで見守るって方が正しい気がするぞ」
するとまたまた片眉を上げた小宮は、何言ってんだコイツ? てな感じで俺を見る。
「でも彼氏は幼馴染で外堀埋められてる状態なんだろ? それに結婚してるわけじゃないんだから、奪っても全く問題はないはずだ」
「………」
(―――そうですか、略奪する気も満々ですか)
角野さんと彼氏の平穏な日々が終わる予感をひしひしと感じ、大きくため息をつきながら更に言葉を返した。
「小宮。確認のために聞くが、いま彼女とかはいたりするのか?」
すると小宮は、面倒くさそうな顔をしながらこの質問をかわしてくる。
「うん、今、彼女は、いない」
「なんだその、不信感しか抱かせない ”彼女は” ってな言い方はよ」
ふざけんな…とムッとすると小宮はちょっと考えたあと小さく息を吐き、どう言おうかと迷っている感じで俺から視線をそらす。
「あー特別な女友達? とかは、何人かいるかもしれない。けど、彼女はいない」
「………」
(はいはい。そうですか。)
そのカス過ぎる答えを聞いた瞬間、これは絶対に阻止しよう…てな使命感がフツフツと心の底から湧きあがるも、
自信たっぷりな相手にどう言い含めたらいいのかが全く分からず、悩みながらボソボソお願いをする。
「でも角野さんと付き合っても結婚する気とかは無いんだろ。それならもう構わず、ほっとけ」
「別にしてもいいぞ」
(そうきたか―――)
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