63人が本棚に入れています
本棚に追加
/1285ページ
そんな彼女に対して、いい加減に早く俺(の背中)から降りて欲しいと願う冬真。
このままでは華は、本当に退く事を忘れて話に夢中になってしまう。
「そろそろ降りろよ」
嫌な予感のした冬真は背中を思いっきり仰け反らせて、早く退けと華にアピールした。
漸く退いてくれた事で冬真と華、アリアンロッドは畳の上で向かい合わせに座る。
「いいえ。中――という表現は少し違いますね。どちらかと言えば「裏側」と称した方が適切でしょう」
アリアンロッドが意味深気味に否定すると、冬真と華は揃って首を傾げた。
当然、理解に苦しんだからに他ならない。
「ここは誰もが知りえ、そして行き着く事の出来ない世界、ブラックワールド。私達ファントムは「ヴェリタス」――そう呼んでいます。例えば、ここに鏡があるとします。鏡の前に立つ人は「鏡を物質として認識する事」は出来ても、「鏡に映る自分に直接触れる事」は出来ません。鏡の表と裏、次元の違う世界にそれぞれが立っているからです」
「つまり、何が言いたい?」
最初のコメントを投稿しよう!