第01話:鏡の世界へ「V」

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「ちょっと冬真、大丈夫!?」 「別に……」  冬真は言葉とは裏腹に、腹の痛みを隠しきれていない様子。 声にも覇気がなかった。 「さてと、お前達、飯は済ましたんか?」  不意に話題を変える祖父に対し「んのくそじじい!」と、冬真は内心で暴言を吐く。 「まだ。何か作らねぇとな。どうせじじいは料理出来ねぇし」 「む……? 今何と? じいちゃんに向かって――」 「さっさと(腹を思っきし突いた事を)謝んねぇと飯作ってやんねぇぞ! って言ってんだ」  未だに頭を叩く棒を片手で払い退け、面と向かって怒鳴る様に謝罪を要求する冬真。 遊びには度が過ぎる程の痛さだったって事だ。 「す、スマンなさい」 「んだよそりゃ」  聞き慣れない単語に思わず耳を傾ける冬真だったが、この後、後悔と苛立ちに苛まれる事になる。 祖父と会話が成り立った事は、冬真の記憶上数える程しか無かったからだ。 「スマンとごめんなさいを組み合わせた造語じゃ。これで「済まない」よりも――」 「飯、いらねぇんだな?」 「済まんかった。許してくれい!」
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