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――西暦2012年
「総ッッ監~! 閲覧室入室許可のサインを下さい!」
警視庁本部の最上階の一角。
いきなり扉が開き、焦げ茶色のスーツ姿の若い女性が勢いよく部屋に入ってきた。
肩より少し長い髪を後ろで一つに束ね、赤いシュシュで結っている。
スリムな体型で、背の高い彼女は机に方手をついて書類を差し出し、ニッコリと笑みを浮かべた。
「ん? 別に構わんが……。一体、何を調べる気だ?」
席に座り山積みされた書類に一枚ずつ目を通してした人物は、一旦作業を止めて声の方へと顔を上げる。
その人は五十歳代の男性で、年齢相応の身なりをしていた。
苦労をしているのか頭髪は白髪が多く短髪、体型はお世辞にも健康体とは言い難く若干太め。
彼はここ――警視庁の長。つまりは警視総監だ。
そんな彼は質問に対し「またか……」とでも言いた気に顔をしかめる。
「!? え~っとぉ、言わなくちゃダメ、ですか?」
そんな事はお構い無しと、対する彼女は上目使いで更に攻めたてる。
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