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しまったと思った時にはもう遅い事もある。
冬真は深く後悔するかのように愛染から視線を逸らせた。
「へ~え? 都会に行ってもやっぱ根っこは田舎者なんだぁ! へー! へー!」
「うっさいな。時間だ、行くぞ」
騒ぎ立てる愛染を尻目に冬真は席を立った。
入学式の会場である体育館に、ぞろぞろと他の生徒らが向かい出したからだ。
体育館に着いてそのまま中に入ると、用意されたパイプ椅子が整然と並んでいた。
誘導係なのだろう若手の教師から順番に座るよう指示が出される。
どうやら冬真達は最後の方だったらしく、椅子に掛けてから数分と経たぬ内に開式のブザーが会場に響いた。
式は小中と差ほど変わらず、延々と御偉い方の長ったらしい(有り難い)式辞を聞くだけ。
と言っても真面目に聞いている生徒は殆どいない。
さっきの時間に仲良くなった友達と話をしている。
若しくはうたた寝をついている生徒が大半を占めていた。
その長い尋問とでも言えるような式辞が終わるとホームルームがあり、解散となる。
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