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そもそも混鏡世界(異界)化が発生したとしても、土地の根幹は変わらない。
土地の根幹が変わらないというのは、異界化する時の土地の風景や特徴は維持し、肥大化・複雑化が著しくなる、という事。
元来、植物が生い茂るような無人島であったから、巨大植物で埋め尽くされるような生態系の混鏡世界となったのだ。
植物が異常成長を遂げた結果がこれであるならば、人工的な物は存在しない。
これまでの混鏡世界もそうであったから、冬真には確信があった。
であるならば、明らかに無人島であるこんな辺境の土地に、人工的なニオイが発生するのは……誰か、混鏡世界になる前から人がいたのだろう。
そうでなければ説明がつかないのだ。
――確か真ん中の道は……翠子とアリアンロッドが二人で行っている筈だ。
二人に何かあったのかも知れないと、冬真の脳裏に嫌な予感が過ぎった。
そもそもこんな世界(鏡世界や混鏡世界)の存在を知ってしまったから……――二人が幻影と既に交戦しているのではないか、なんて考えすら浮かんでくる。
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