第09話:真夏の孤島「H」

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そもそも混鏡世界(テスカ ポリカ)(異界)化が発生したとしても、土地の根幹は変わらない。 土地の根幹が変わらないというのは、異界化する時の土地の風景や特徴は維持し、肥大化・複雑化が著しくなる、という事。 元来、植物が生い茂るような無人島であったから、巨大植物で埋め尽くされるような生態系の混鏡世界(テスカ ポリカ)となったのだ。 植物が異常成長を遂げた結果がこれであるならば、人工的な物は存在しない。 これまでの混鏡世界(テスカ  ポリカ)もそうであったから、冬真には確信があった。 であるならば、明らかに無人島であるこんな辺境の土地に、人工的なニオイが発生するのは……誰か、混鏡世界(テスカ ポリカ)になる前から人がいたのだろう。 そうでなければ説明がつかないのだ。  ――確か真ん中の道は……翠子とアリアンロッドが二人で行っている筈だ。 二人に何かあったのかも知れないと、冬真の脳裏に嫌な予感が()ぎった。 そもそもこんな世界(鏡世界(ヴェリタス)混鏡世界(テスカ ポリカ))の存在を知ってしまったから……――二人が幻影(ファントム)と既に交戦しているのではないか、なんて考えすら浮かんでくる。
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