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「別に。あいつらの頭じゃ、そこまで気が回らない。問題ない」
ノートの言い分は尤であるのだが、華と恭平の二人は全く以て問題がないという確証が冬真にはある。
JP’sメンバーと共に過ごす上で、勘が人並みにありそうな人はせいぜい夏希と翠子くらい。
後は論外であると、冬真は結論付けていた。
「そうか? ならば良いのじゃが」
「だったら話は終わりだ。急ぐぞ」
隣を走るノートへと目配せをすると、冬真は走る事に集中して獣道を疾走する。
一方の彼女は話を続けたそうな素振りを見せるも、会話を中断させる主の意志を尊重してか、それ以降に口を開く事は無かった。
冬真が獣道の先を見やると、小さく左右に動く赤い点が一つ。
二人が会話に集中していたせいか、先頭を走る煉とは随分距離を開けられているみたいだ。
唐突な混鏡世界化と無人島での轟音、そして硝煙の臭い。
不穏な要素が散りばめられている中、真実へと辿りつく為――冬真は先を急ぐ。
「一体、この島で何が起きてんだ?」
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