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◇ ◇ ◇
時間は少しだけ遡り、分岐地点にて冬真達と別れた先の中央の道――更にその奥で天音翠子とアリアンロッドは、堂々と構えるソレを前に言葉を失っていた。
大凡、島の中央に位置する彼女達の眼前には開けた空間が広がり、周囲を大型シダ植物達が覆うように取り囲んでいる。
それだけならばまだしも、時代錯誤もいいトコロの遺物が鎮座しているのだから、二人の開いた口はそう簡単には塞がりそうもない。
「……、……?」
「なんで、こんなものがここにあるンです?」
あまりにも場違いである事に変わりはないのであるが、ここも《当時》は戦場であった――と考えるのが自然なのであろう。
どこからどう見ても、誰がどう見ようとも……ここは無人の孤島。
地図に載ってはいるのだろうが、マイナー過ぎて名も知らない無名の土地。
当時の技術で搬送することが出来たとしても、こんな辺鄙な島にわざわざ配置する意図が掴めない。
「私も知りません。それにしても、初めて見ました……戦車」
翠子にとって初めての戦車は、見聞通りの武骨さが目立つものであり、無数の創痕が当時の歴史を感じさせるものであった。
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