第九話:真夏の孤島「H」

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「別に。あいつらの頭じゃ、そこまで気が回らない。問題ない」 ノートの言い分は(もっと)であるのだが、華と恭平の二人は全く以て問題がないという確証が冬真にはある。 JP’s(ジプス)メンバーと共に過ごす上で、勘が人並みにありそうな人はせいぜい夏希と翠子くらい。 後は論外であると、冬真は結論付けていた。 「そうか? ならば()いのじゃが」 「だったら話は終わりだ。急ぐぞ」 隣を走るノートへと目配せをすると、冬真は走る事に集中して獣道を疾走する。 一方の彼女は話を続けたそうな素振りを見せるも、会話を中断させる(あるじ)の意志を尊重してか、それ以降に口を開く事は無かった。 冬真が獣道の先を見やると、小さく左右に動く赤い点が一つ。 二人が会話に集中していたせいか、先頭を走る煉とは随分距離を開けられているみたいだ。 唐突な混鏡世界(テスカ ポリカ)化と無人島での轟音、そして硝煙の臭い。 不穏な要素が散りばめられている中、真実へと辿りつく為――冬真は先を急ぐ。 「一体、この島で何が起きてんだ?」
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