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彼女のその画面にも、地面に落ちている少年のスマホにあったのと同じ、不気味な笑いを浮かべ血塗られた鎌を背後で持っている幽霊のような画像があった。
「おぉ~ホントにスキル使用時間とアバター名が載ってる。この『リアルタイム』の速報は信頼できそうだな」
画面を見ながら女性は嬉しそうにぼそりと呟いた。
「あんまり知らない人の言葉は鵜呑みにしないようにね。じゃあね、『脆弱なる争う低遇者』君」
男子高校生は女性が前を通る時に一声かけられたが、やっぱり無反応。
女性はスマホを人差し指で触って電話を掛けながら、改札がある階段を目指して歩き、
「あ、如月さんすいません」
避けて歩くのが面倒だからなのか、目にすら入っていないのか。
さっきまで“高校生だった“モノ”をぐちゃりと踏んで、
「今電車事故があって電車がしばらく動かないみたいなんですよー。事務所に行くの遅くなりそうなんですが大丈夫ですか?あ、私今日は講義取ってないんで何時でも大丈夫なんですけど」
まるで何事もなかったかのように電話相手に報告をしてホームを後にした。
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