第二章

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 彼の心の声と共に、一瞬だけ林道があの3人組を殴り倒す光景が見えた。 「どこで拾った?」 「痔で悩んでそうな奴らが落としていったんだ」 「だったら僕じゃなくてそいつらに返してやれよ」 「お前が返したいなら返してやれ」  林道は表情一つ変えず偉そうに言った。  僕は林道を睨んだ。 「礼を言うつもりはない」  林道はハンバーガーを咀嚼しながら言った。 「礼を言う必要がない」  僕は林道の胸ぐらを乱暴に掴んだ。彼は動じることなく低い声を出した。 「なんだ。やんのか? 俺と喧嘩しようなんて百年……いや、千年……いや、万年……万年? 万年筆って一万年使えるの? だとしたら俺は万年筆に対する考え方を改めなきゃならない」  僕はなにも出来ず小さく死んでいく。それでもなにか出来ることがあるかもしれない。 「林道君、どんな女の子が好き?」
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